関税(関税自主権)が無いと、外国から安い物品が無制限に入ってきてしまう。一見良いことのように思えるが、そうすると安い外国製品に押されて自国の産業の空洞化を招いてしまう。
同じ製品であれば、消費者は普通安価なほうを購入する。すると、自国の(外国製よりは割高な)製品を売って生活をしている人が儲からない。儲からないから生産者が生産を止めてしまい自国でその製品を作れなくなる。製品でもそうなのに、食料までそうなっては、輸入を止められた場合に自国で作物を作れないので食べるものが無くなってしまう。
このような状態にならないように、自国産と輸入品との価格差を調整して、自国の産業を守るため、関税というものが存在している。例えば、輸入品の方が自国製品より10%安かったら、その値段分関税をかけて同じ値段にしてしまう。この関税を自国で自由に設定できる権利を関税自主権という。
幕末の
安政条約によって日本は関税自主権のないままの
開国を迎えることになるが、当初は輸出税は一律5%、輸入税は1類(金銀、居留民の生活必需品)は無税・2類(船舶用品・食料・石炭)は5%・3類(酒類)20%・4類(その他)20%であり、
神奈川開港の5年後には日本側から税率引上の協議を要求できる、関税賦課は
従価税であるという日本側も決して不利益とは言えないものであった(
従量税で引上協議の要求の出来ない
天津条約を結ばれされた
清に比べればの話であるが)。ところが、
改税約書によって主要な輸入品89品目と輸出品53品目を当時の従価を基にした5%の従量税とし、無税対象を18品目・その他は一律従価5%に改められた。従価税であれば、価格が上昇すれば関税収入もそれに比例して上昇するが、従量税であれば価格に関わり無く量に応じた関税を払えばよく、幕末の混乱期のインフレによって事実上の関税免除に近い状態になってしまったのである。