化石 wikipedia|無料辞書
化石(かせき、fossil)とは、
地質時代に生息していた
生物もしくはその活動の痕跡を指す。
多くは、古い
地層の中の
堆積岩において発見される。化石の存在によって知られる生物のことを
古生物といい、化石を素材として、過去の生物のことを研究する学問分野を
古生物学という。
資料としての化石は、1.古生物として、2.
堆積物として、の二重の性格を併せもっている。
◆ でき方と産出状況
化石は、過去の生物の遺骸や遺跡が、何らかの形で地層の中から発見されたものである。
遺骸が地層にとじ込められたのち、
肉などの軟質部は通常、
化学変化により失われる。したがって化石には動物の
骨や
殻、
歯などの固い組織の部分を主として、それらが
鉱物に置換されて残っているものが多いが、木の
葉や
恐竜をはじめとする動物の
皮膚や
羽毛の型が残っているもの、
貝などの内部が鉱物で充填されたものもある。形状的には、凸型(雄型、石膏型形状)のものを「カスト」、凹型(雌型、鋳型形状)を「モールド」と呼ぶ。また、軟体性生物あるいは生物における軟質部が
酸素の少ない
泥に閉じ込められた
バージェス頁岩のような例もまれに見つかる。
生物体それ自体だけでなく生物活動の跡(遺跡)も
生痕化石といわれ、化石の一種とされる(足跡、這い跡、
巣穴など)。生痕化石は、生物本体の化石よりも重要ではないと考えられるかもしれないが、必ずしもそうではない。生物体化石だけでは分からないことが、生痕化石から判断できる場合も多い。発達した生物が多く現れる
古生代カンブリア紀の始めを示すのは這い跡の生痕化石であり、恐竜の行動様式が判るのは足跡の研究の成果である。
タンザニアでは、360万年前の
アウストラロピテクスの足跡の化石が見つかっており、そこでは親子が並んで
二足歩行していることが実際に確かめられている。動物の
排泄物の化石(糞化石)も、その動物の消化器官の様子や、餌にしていた生物を知る重要な手がかりとなる。また、
恐竜の卵の化石は一箇所に集中して大量に見つかることが多く、
マイアサウラのように、ある種の恐竜は子育てをしたのではないかと推論される証拠も見つかって、このような例から動物たちの多様な行動様式を知ることができる。
いずれにせよ、化石としてのこる生物は偶然に左右され、その身体の部位、条件、その他きわめて限られた場合だけである。たとえば、
鳥類については他のものより出土量は少なく、
始祖鳥と現世鳥類を結ぶ
進化の過程には未解明な点が今なお多い。また、化石から分かる情報もそれなりに限られたものである。しかし、過去の生物を直接目にすることは、化石を通じてしかありえない。それゆえ、進化という考えの起源の一つが化石研究であったのは当然である。とはいえ、化石から生物界の
種すべての情報を引き出せるわけではない。生物界全体を見渡せば、化石から
系統進化にかかわる知識を汲み出せるのは
動物界と
植物界だけにほぼ限られると言ってよい。
菌界、
原生生物界、
細菌、
古細菌の化石の出土も少なくないが、
微化石として多産するもの以外については、通常、断片的な知識しか得ることができない。
ただし、
原核生物など極めて情報量の乏しい生物群でも、他生物の化石と細胞内共生や
LGTなどを利用して関連付けることで系統樹に関する情報を得ることができる場合がある。分類群特有の成分も分子化石として産出する場合がある
[これにより少なくとも27億年前までには3ドメインが成立していたと推定されている]。
なお、
雨の水滴の痕跡と思われるものを「雨の化石」といい、
波が海底に造った
漣痕(れんこん)を「波の化石」と呼ぶが、正しくはこれらは化石ではなく、比喩的な表現である。
◆ 化石の分類
古生物遺体(遺骸)としての化石は、生物学上の分類にしたがって動物化石、植物化石などのように分類されるが、上述のように遺骸か遺跡か、また遺存の状況や程度によっても分類が可能である。表にまとめると以下のようになるが、あくまでもこれは代表的でわかりやすい事例をかかげたにすぎない。